その日は突然やってきた
4月18日:切迫陣痛により妻、入院
午前診が終わった直後に「入院です」
と妻からライン。
この時点で一番の懸念点は
息子のお迎え。
午後診を急遽休む訳にも行かず、、
(代わりのいない開業医の洗礼を受けた気分でした)
私の母に息子のお迎えはお願いしなんとか解決。。。
妻との別れもできぬまま、離れ離れになった息子に
「たた(妻)入院したよ」
と伝えるのは父の役目。
その日の帰宅後に入院したことを伝えました。
息子は悲しい気持ちを押し殺し
父とこの難局を乗り越えねばならないと何とか状況を理解してくれたようでした。
当初は私も妻も数日安静にしていれば帰って来れるんじゃないかと軽く考えていましたが
状況はもっと深刻で、、
実際は退院などもってのほかで
妻にとってはこの日を境に子宮収縮抑制薬を連日投与する入院生活の始まりとなりました
妻が入院しても、愛する息子と二人きりになっても
日常の時間が止まるわけではありません
家にいる家族にとってはできる限り日常を続けねばなりません
息子は幼稚園生活、私は精神科医生活。
親族の力を結集して生活はなんとか維持することができました。
感謝。
息子は本当に頑張ってくれました。
妻が数時間外出するだけで、通報されるんじゃないかと思うぐらい泣き叫んでいたかつての息子は
終わりの見えない母親のいない生活をとても逞しく健気に乗り越えてくれました
20時半ごろに帰宅する私を待って、22時過ぎに一緒に寝室に上がり
一人欠けたベッドで息子は涙をポロポロ流すこともありましたが
父としてできることは抱きしめるだけ。
きっと元気に帰ってくるから一緒に頑張ろうと語りかけ
息子は泣きながら眠りにつく日もありました。
それでも本当に我慢して頑張っていたのだと思います。
父子生活が1週間を迎えた頃でしょうか
登園の時に息子の感情が大爆発した日がありました。
今まで抑えていた感情が堰を切ったように溢れ出しました
大声で泣き叫ぶ息子に
「そうだよね、やっぱり我慢してたよね」
と心の中で共感し、彼の想いが納得するまで時間の許す限り
寄り添ってあげようと思いましたね
ただ、周囲は彼が実際はどこまで我慢していたのか知る由もありません
その日の降園の際に
「お父さんはもうちょっとあっさり置いていってもらっても大丈夫です。お父さんが行った後はすぐに泣き止んでましたから」
と先生から義母が言われたみたいと妻から連絡がありました。
いやいや、息子がどんだけ我慢してきたか。
どれだけ健気に家で振る舞ってきたか
あの朝が母と離れ離れになって初めて息子が気持ちを全面に出せた日
それを一番理解しているのは父親です
それを一番受け止めてあげれるのも父親です
登園のお別れに多少時間がかかってもいいじゃないか
泣きわめく息子を抱きしめてあげられるのも
母がいない今、父親しかいないんですよ
そういう気持ちをその日の連絡帳ノートに棘のないようにマイルドにしたためました
こんなこともありました
それまで寝る時はあまり何も言って来なかった息子が
「たたはいつ帰ってくるの。左に大ちゃん(私)がいるけど、右にたたがいないから寂しい」
そうだよね
川の字は3人じゃないと完成しないから。
そんなこんなで乗り切りながら
いつを出産日にするのか問題が浮上します
予定日は5月15日
でも母体的にもとてもじゃないけどそこまでは引っ張れない
医師と相談し、5月1日を出産日として再設定することになりました
そして5月1日を迎えるわけです
この日はなんとか仕事を調整し
病院に駆けつけました
手術予定時間は1時間ほど
しかし、1時間経てど
1時間半経てど
赤ちゃんも妻も現れません
こんなに1時間が長く感じたことは人生でもなかったかも知れません
2時間弱経った時にドアが開いて
保育器に入った我が子が現れました
もし問題がなければその対面の場で家族との時間を過ごせると聞いていましたが
2人とも保育器で
そのままNICUに入院することになりました
長女:2260g
次女:1620g
二人とも1800gと推定されていましたが実際は体格差が大きく
次女はNICUに入院直後から酸素の補助を受けることになりました
でも、そこからの回復が凄まじく
2人とも数日間で保育器も出れるようになり
今はまだNICUに入院してはいるものの
ミルクもごくごく飲んで
早ければ来週か再来週に退院でもいいよと
医師からの今日の説明で言われたそうです
ほんとみんなよく頑張ってくれました
何よりも切腹をしてまで2人を産んでくれた妻には感謝と尊敬しかありません
妻も5月7日に無事に退院して
息子と再会を果たすことができました
最初は少しよそよそしかった息子も
今はすっかり以前のたたっ子に戻り
寝る時はもう私の側にくることはありません笑
朝は来てくれてますけどね笑
たった18日では母子の絆は越えれませんね笑
今はやっと我が家に「川」が戻ってきました
何ヶ月後かには
川→州に近づいていることでしょう
このブログを読んで
「奥さま大丈夫ですか」
と聞いてくださる患者様もおられます
ありがとうございます
晴れて無事に5人家族となることができました
今後ともよろしくお願いいたします